LOGIN火を起こし、遠火で肉を焼く準備をする。
「火加減はねぇ、じっくりと弱火でぇ……」
「焦らず焼くのですね……ミレディさん、教えてくれてありがとうございます」焚き火の赤々とした炎が、肉をゆっくりと炙っていく。香草がじわりと香りを放ち、塩が肉の表面に染み込むように馴染んでいく。
ミレディは嬉しそうに肉を見つめ、シャルはわずかに鼻をくすぐる香りに微笑む。
「ユウくんも、楽しみでしょぉ?」
「……うん」シンプルな料理、だが――これは特別だ。二人が初めて狩った獲物。自分たちで調理した、初めての食事。このひと時が、なんだか妙に心地いい。
火の音と、楽しげな二人の声が響く中、肉はじっくりと焼きあがっていった。
焚き火のそばで焼き上がった肉を囲み、俺たちは穏やかな昼食の時間を迎えていた。
香ばしい匂いが広がる中、ミレディは嬉しそうに肉を頬張りながら、ふと手元の水筒を俺に差し出した。
「ユウくん、飲むぅ? わたしの水だけどぉ!」
きらきらと輝く瞳で、無邪気に水筒を俺へ向けるミレディ。俺は特に気にすることもなく、それを受け取って口をつける。その瞬間、俺の視線は、水筒の飲み口に触れていたミレディの唇に引き寄せられた。ぷるんと瑞々しく、まるで熟れた苺のような淡い赤色。その唇が、俺が今口にしている水筒に触れていたのだと思うと、心臓が小さく跳ねた。
――だが、その瞬間。横でシャルがじっとこちらを見ていた。
「……?」
俺が視線を向けると、シャルはふいっと顔をそむけ、小さく水筒を自分の方へ引き寄せた。まるで宝物でも隠すみたいに。
「……では、ユウ様。こちらもどうですか?」
俺に自分の水筒を差し出すシャル――その動きは、どこかぎこちなく、ほんのり頬が赤らんでいる。俺は自然と、シャルの水筒の飲み口と、その傍にある彼女の唇に目をやった。桜の花びらのような薄紅色で、控えめながらも上品な色合い。ミレディとはまた違う、静かな魅力があった。
ミレディは楽しそうに口元を緩めながら、わずかに肩を揺らす。
「えへへ♪ シャルちゃんもぉ、ユウくんに飲んでもらうの?」
その一言で、シャルの顔がみるみるうちに真っ赤に染まった。まるで茹で上がったタコみたいに。
「そ、そういうわけでは……ただ、どうぞ……」
俺は何かを察しながらも、シャルの差し出した水筒を受け取る。
ゴクリ、と軽く喉を鳴らしながら飲み込む――その瞬間、意識してしまう。
……さっき、ミレディのを飲んだばかりで、次はシャルの……?
つまり――間接的に……キス?ああ……アプローチ作戦か。なるほど……
改めて考えてしまい、妙に意識すると、自然と俺の顔が熱を持ち始めた。
「……ん? ユウくん、顔赤いよぉ?」
「……ユウ様、どうされました?」
首を傾げて小首をかしげるミレディと、心配そうに俺を見つめるシャル。二人の問いに、俺は咄嗟に視線を逸らす。
「いや……気にするな」
――何でもない、何でもないはずなのに。なぜか、この時間がやけに長く感じる。
俺は何気なく焚き火の方へ視線を移しながら、軽く息をついた。これ以上意識したら、余計にぎこちなくなる――。
だが、ミレディとシャルはそんな俺の様子を、どこか楽しそうに、そして少し意地悪そうに見ていた。どうやら、この昼食の時間は、俺にとって試練の時間になりそうだ。だが、目の前には美味そうな料理が並べられ、いい匂いが漂っている。
じっくりと遠火で焼かれた肉は、表面がこんがりと色づき、香ばしい香りがあたりに広がる。塩と香草だけのシンプルな味付けだが、余計なものがないぶん、肉本来の旨みが際立っている。
「うわぁぁ……いい匂いぃ♪」
「ふふ……とても美味しそうですね」ミレディとシャルは、目を輝かせながら肉をそっと皿に移す。焚き火の赤々とした炎の光を受け、湯気がふわりと立ち昇る。
俺も無意識に喉が鳴る。これは……間違いなく旨い。
ミレディが待ちきれない様子で、嬉しそうに肉を頬張った。
「ふふ、食べるの楽しみだったんだぁ! ん~~、美味しいぃ!」
シャルも落ち着いた仕草で一口食べ、ほのかに微笑む。
「……とても香ばしくて、塩加減もちょうどいいですね。ミレディさん、上手に焼いてくれました」
その言葉にミレディは誇らしげに胸を張る。
「えへへ♪ でしょぉ~? ユウくんにも褒められたしぃ!」
俺は軽く苦笑しながら肉を口に運ぶ。
香ばしい焦げ目の下に、じんわりと広がる旨味――塩と香草のシンプルな風味が絶妙なバランスで染み込んでいる。
「……確かに、うまい」
「でしょぉ~!」
ミレディが満足そうに微笑み、シャルも静かに頷く。
食事を楽しみながら、会話も弾む。
「ねぇねぇ、ユウくんってさぁ、一番好きな食べ物ってなに?」
「……そうですね、気になります」俺は肉を噛み締めながら、少し考え込む。
「……シンプルな焼き肉、こういうのが一番好きかもな」
「わぁぁ♪ じゃあ今日のごはん、大成功だねぇ!」
「ええ……こういう食事は特別ですね」ミレディは楽しげに笑い、シャルも落ち着いた表情ながら満足そうに肉を口に運ぶ。
食事の時間は、ただ腹を満たすだけじゃない。こうして、穏やかに会話をしながら食べることで、一層味わい深いものになる。
焚き火の暖かさと、食事の美味しさ。それに――二人の嬉しそうな笑顔。
そんな穏やかなひとときが、今日の昼食をより特別なものにしていた。
昼食を食べ終わり、再び二人は川へ遊びに行ったが俺は……パスだ。多分、日帰りはできそうにない気がする。夕方頃まで遊ぶと、森の中で夜を迎えることになる。結界とライトの魔法で明るく安全に帰れるとは言え、そこまでして帰る必要性がないしな。
秘密影猫(かげねこ)組織の誕生——情報収集の始まり ——ミレディの成長と誇りの紋章 ミレディは今では、一人で平気で町へ出かけられるほどにまで成長している。かつて彼女は孤児として男に襲われた過去があり、その恐怖からユウに助けられ、保護された。あの出来事をきっかけに、彼に深い信頼と想いを寄せるようになった。 当時のミレディはユウと片時も離れようとせず、トイレに行くときでさえ付き添いを求めたほどだったが、ユウはいつも笑顔で応じていた。 そんな彼女に自信が芽生えたのは、武器を買い、戦闘訓練を積み、仲間と共に川へ向かう途中で獣を討伐し、ユウに褒められたことがきっかけだった。さらに、ユウから贈られた辺境伯の紋章入りペンダントと、同じ紋章が金糸で刺繍されたショートマントも、彼女の背中を力強く押したのだった。 この紋章は国王から正式に授けられたもので、王国の象徴たる黄金の王冠が頂点に輝き、その下には騎士剣と両手剣が交差する。「王国の守護者」としての武勇と戦略の均衡を示し、交差点には魔物討伐の象徴たる燃え上がる炎が刻まれる。背後には領地を囲む森の影が深緑で描かれ、王国の境界を守り、魔物の脅威と対峙する宿命を象徴する。剣の下部には鋼鉄の盾が据えられ、王国の紋章が刻まれる。これは「王国の最後の砦」としての役割、辺境伯の忠誠と防衛の責務を誇示するものだ。盾の周囲に彫り込まれた城壁の意匠は、王都へと続く唯一の安全な道を守る者であることを示す。 紋章全体は鋭角的な構成で、整然とした威厳あるデザインだ。王家より授けられたこの紋章は、単なる貴族の印ではなく、「魔物討伐と王国防衛を担う者」という誇り高き使命を刻み込んだ象徴なのである。 この紋章のおかげで、ミレディが町で絡まれたり、意地悪されることはなくなった。声を掛けてくるのは警備兵や衛兵くらいだ。さらに、ユウに連れられ買い物をしていたことで、町の人に顔を覚えられている。誘拐や襲撃の恐れがあるため護衛はつくものの、ミレディは自由に街を行動できる。彼女自身も、町で襲われそうになった際にナイフを使い瞬時に撃退し、その強さを知らしめていた。 —&mda
シャルの小さな胸を触りながら、抱きしめて上半身を起こした。片手は乳首を弄り、もう片手で柔らかな腹を撫でる。腰を小刻みに動かし、中をかき混ぜるような動きをした。その刺激に、シャルの喘ぎ声はさらに甘く、乱れていく。「んぅぅん……♡ あぁ……ん♡ あ、あ、あぁ……ん♡ や、だ、だめぇ……あぁ……ん♡」 シャルの瞳は完全にトロけて焦点が定まらず、口元は僅かに開き、甘い吐息が漏れる。身体は快感に打ち震え、膝をガクガクと震わせ、今にも崩れ落ちそうだ。その腟内が、きゅぅぅと俺を締め付けてくるとぷしゃ……ぷしゃぁぁ♡と腰をビックンっ♡ ビックンっ♡と動かし、快感に身を震わせながら潮を吹き出した。「あぅ……♡ ユウ様ぁ……で、出ちゃいましたぁ……ううぅ」 絶頂の余韻に、小さな体をひくっひくっと震わせるシャル。その顔は恍惚としながらも、どこか呆然としていた。 俺も射精をして、振り向くシャルの唇に夢中でキスを始めた。「んぅ……はぁ、はぁ♡ んぅ……♡」 シャルも夢中でキスを返してきた。互いの唇が熱く、喘ぎと混じり合ったキスは、二人の絆をさらに深く結びつけるようだった。 夢中でキスをしてくるシャルを抱きかかえ、俺はソファーへと向かった。「はわっ、どちらへ?」 急に抱きかかえられたシャルが、目を丸くして驚いた顔で聞いてきた。その小さな手が、思わず俺のシャツをぎゅっと掴む。「ソファーで、ゆっくりと続けようかと……」「そうですか……もう、終わりだと……思いました」 顔を真っ赤にしたシャルが、恥ずかしそうに、しかしどこか名残惜しそうに言った。そんな可愛らしい姿を見て、シャルの頬に頬ずりをした。
俯き、顔を真っ赤にして必死に甘えているのが伝わってくる。普段は、絶対にこんなことを言わないシャルだからこそ、その姿に胸が締め付けられる。向かい合わせで抱っこして、シャルの唇に吸い付いた。「んぅ……ん、ん、んんぅ……♡ はぁ♡ はぁ……はむっ♡」 お互いの口の周りが、お互いの唾液で濡れる。その生々しい感覚が、さらに俺の理性を揺さぶった。「ユウ様、涎が……ぺろっ♡ ぺろっ♡ ひゃ……あ、くすぐったい……」 シャルが俺の口元を舐めとると、その舌の感触に思わず身体が震えた。「シャルも口の周り、涎が……ぺろっ、ぺろっ♡」 俺もシャルの口元を舐めると、彼女はえへへと愛らしい笑顔を見せた。「えへへ♪ ありがとうございます……きれいになりました?」 こんな笑い方も普段しないよな……「ふふ……」「うふふ……」とかだよな。その無邪気な笑い方に、俺の心は温かくなった。「どうしたんだ? 今日は、可愛すぎだな……そういう表情とか口調、可愛いな」「……ですね、普段は……しませんよ。恥ずかしいですし……ユウ様の前だけですよ。……特別なのです」 シャルは少し照れながらも、真っ直ぐな瞳で俺を見つめてくる。その言葉と表情が、俺にとってどれほど嬉しいか。「そっか。それは、嬉しいな。他のやつには見せるなよな。もっと特別扱いしてくれていいぞ」「してる……わたしの肌を触っていますし……エッチなことしてる……キスも……特別ですよ? 夫婦ですし。他
「シャル、今日は、なにするんだ?」 俺は自らキッチンに立ち料理を始めていた。「はい? えっとですね……今日は……お肉を炒めようかと。お好きですよね?」 シャルの声は、いつものように穏やかで、俺の好みについて純粋な問いかけを返してきた。しかし、そのわずかな間、彼女の大きな瞳は俺の表情をじっと見つめ、何かを探るように揺れている。まるで、俺の言葉の裏にある本当の意図を測ろうとしているかのようだ。 そういう事を聞いているんじゃないんだけどな、と内心で苦笑する。俺が聞きたいのは、今日のシャルの予定や、この小屋での過ごし方だったのに。 今日のシャルは、膝上丈の軽いスカートが付いたショートパンツに、シンプルなエプロン姿だ。その丈が短いから、すらりと伸びた可愛らしい太ももが露わになっている。エプロンの紐は背中でキュッと結ばれていて、華奢なウエストが強調されていた。 フライパンを手に持ち、くるりとこちらを振り返る。その仕草一つでエプロンの裾がひらりと舞い、柔らかな金色の髪がふわりと揺れる。その全てが、まるで朝の光の中で舞い踊る蝶のように、お淑やかで、それでいて愛らしい。時折、フライパンの向こうからちらりと見える上目遣いや、小さく首を傾げる仕草は、俺の視線を釘付けにした。その純粋な可愛らしさに、俺の心臓はトクンと穏やかなリズムを刻む。このまま時間が止まればいいと、そんな甘い錯覚に囚われるほどだった。その全てが、ただただ可愛すぎる。それも、踏み台って…… シャルがフライパンを揺らし、トントンと小気味よい音を立てて料理に集中している隙に、俺はいたずら心でそっと忍び寄った。そのまま床に寝転がり、彼女のショートパンツの中を覗き込む。 ショートパンツの裾から見えたのは、純白の柔らかなレース。それが肌にぴったりと吸い付くように沿い、雪のように白い太ももの付け根を愛らしく縁取っている。さらに奥を覗き込めば、レースの向こうに透けて見えるのは、薄い桃色に染まった、愛液でしっとりと光る秘裂。その中心には、小さな陰核がぷっくりと膨らみ、微かにピクピクと脈打っているのが見て取れた。シャルが動くた
王は微かに笑みを浮かべ、満足げに頷いた。「そうか。ならば、ユウ殿に任せておけば問題あるまい。伯爵領もユウ殿に統治を一任する。問題あるまい。」 その瞬間、決断は現実となる。 シャルは伯爵としての立場を維持しながらも、領地の統治、運営をユウへ託すことで、自らの望む道を歩むことを選んだのだ。 ユウと共に過ごす生活は変わらない。 しかし、これまでとは違い、彼女の名前は領地の主として刻まれることになる。 彼女の人生が大きく動いた瞬間だった。 広間に響く王の声は、揺るぎない威厳を帯びていた。「ユウが領地経営を担う。」 その言葉が放たれた瞬間、貴族たちの間にざわめきが広がる。 誰もが王の決断に驚きながらも、異を唱えることはできない。 王は続ける。「この領地の統治は、ユウ殿に一任される。これ以上の議論は不要——正式な布告とする。」 重い宣言が広間に響く。 これで決定だ。ユウの立場は確固たるものとなり、誰もがその権威を認めざるを得なくなった。 ユウのそばにいたシャルは、申し訳なさそうに視線を落とす。 そして、ほんの少し頬を赤らめながら、静かに呟いた。「……ご迷惑をおかけします。ユウ様。」 その言葉とともに、彼女はほんの少し甘えるようにユウを見上げる。 ユウは肩をすくめる。「別に気にしてないさ。」 王はその様子を微笑ましそうに見ていた。 シャルが、ただの伯爵ではなく「ひとりの少女」としてユウを慕っていることを、王は理解している。 その場の空気が穏やかになりかけた——その瞬間。「国王陛下の前で……やはり奴隷は常識がないですな……。」 低く響いた呟き。 瞬間、広間の空気が凍りついた。 ユウの表情が僅かに歪む。 視線を向ける。ただそれだけで、侮辱を口にした貴族は息を詰まらせる。 し
その瞬間、貴族たちの間に動揺が走った。「……いえ、陛下ですぞ!? なにを言っていらっしゃるのですか!?」 一人の家臣が慌てた声をあげる。しかし、その言葉を遮るように——「任せるということは、そういうことだ!」 王が家臣へと鋭い視線を向けた。「貴様に任せると言って、わしが横から指示をする。それが領主にとってどれほど不快か、分からぬか? それを任せるとは言わん!」 王の言葉は広間全体に響き渡った。誰も口を開けない。 そして、王の目が細まり、次の言葉が落ちる。「……元貴族の娘……そうか。戦でのぅ……そして奴隷か……。」 語調が変わる。どこか冷たさを帯びた声だった。「不正に財産を奪い、娘の保護すらせず、奴隷商に売り払う——それが貴族のすることか?」 ざわめきが消えた。広間は沈黙に包まれ、誰もが王の表情をじっと見つめていた。「直ちに調査し、その者たちを捕らえよ! わしが、直接裁きを下す。」 鋭い命令が発せられ、部屋の空気が一変する。 衛兵たちの動きが固まり、場の緊張が高まる。「人の心があるとは思えん……もはや、その貴族は人ではない……。」 冷たい言葉が容赦なく告げられる。「ならば、ワシも人とは扱わぬ。」 言葉の重みが空間に染み渡る。「全財産の没収、貴族位の剥奪――……奴隷とする! 異議は認めん。」 この場で、それは決定された。 その貴族だった者は、もはや貴族ではない。もはや人としての地位も剥奪され、人とは扱われぬただの存在へと落とされた。 裁きの場は静まり返り、重い決断の余韻が漂う。 この宣告は、王国内に大きな影響を及ぼすことになる――。







